『東京ニューソース』開催にあたって  /  エンドウソウメイ

  
“伝説の「東京ソイソース」の21世紀版「東京ニューソース」が、s-ken、いとうせいこう、共同プロデュースのもといよいよ始動。そしてゲノムは未来へアセンション!”


 
 「東京ソイソース」。1986~1988年(全5回)、JAGATARA、s-ken & hot bomboms 、ミュートビート、トマトスという甘口ヒットチューンを横目に、まったくオリジナルな“東京ダウンビート”を作り上げた4バンドが中心となり、幕間転換時、黎明期の日本語ヒップホップ、ラガマフィン等のターンテーブル・パフォーマーがつなぐという、現在のライブパーティーの雛形を作った。さらに、会場につめかけた若者達から後に名をなす多くのクリエーターを多方面に輩出したエポックメイキングなイベント。  

 そんな東京ソイソースが、2019年3月16日、「TOKYO SOY SOURCE 2019」として華々しく渋谷クアトロで復活した。  

 さかのぼること、2018年夏、百万年書房オフィシャル動画チャンネルにて東京ソイソースにフォーカスし行われた、いとうせいこう×s-ken対談にて、実は東京ソイソースの種を未来につなげるオルタナティブが本編を待たずして密かに産声を上げていた。  

 その名も、s-ken、いとうせいこう、プロデュース「東京ニューソース」。東京ソイソースのレジェンドと若き才能との融合によって生まれるゲノムを未来へつなぐ純正な第二形態だ。  

 記念すべき第1回目は、「ポエトリージャム」のサブタイトル通り、ヒップホップ、ポエトリーリーディング、スポークンワード、文学等、“言葉”と“リズム”、“サウンド”が交差する壮大な実験場となる。  

 今回のメインキャスト、s-ken、町田康ともに歌唱という固定概念から抜け出し、言葉を自在に操るための新たなユニットを結成。そして、日本語ヒップホップのパイオニア、いとうせいこうは、脂が乗り切った、いとうせいこう is the poetを率い言葉のトランスフォームを推進。  

 プロデューサー2人が切望する、“次世代へつなぐ”という重要タスクを担うのは、多くのラッパー、詩人のバックアップビートを担当し圧倒的な支持を集める話題のバンド、SECRET COLORS。彼等のリディムに乗る詩人達も、ラップ、ポエトリーリーディング、スポークンワードと多種多様なファーストコールがそろう。  

 東京ソイソースからの伝統とも云える、幕間DJも、純セレクターからDJという概念すら変えるパフォーマンサーまでがラインナップされ、ライブアクトに更なる厚みを加える。  

 今後、シリーズ化も視野に入れる東京ニューソース。s-ken、いとうせいこう両者の出演はデフォルトに、毎回のテーマごと、東京ソイソースの他のレジェンドと新たなる才能との融合の場として、第三、第四とスタイルが進化した頃には、“ソース”の意味そのままが音楽ジャンルとなったサルサ同様、新たな音楽、文学、ファッション群を総称するカルチャータームとしての“ニューソース”が語られる日も近い。   

 さあ、まずは未来への大いなる一足となる、6/22@青山CAYで提示されるその“ソース”を、能う限りの五感を研ぎすまして味わってみようではないか。 

プロデューサーからのコメント

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◆新たなソースが生まれることを夢想して/s-ken

“東京ソイソース2019”が3月16日終了した。

31年ぶりに熱狂の宴が幕を閉じると、去年の夏、いとうせいこうと対談した時、彼の予言に勇気づけられたとおり、冥土の土産どころか、復活どころか、未来につながるような熱き思いがますますうごめいてきた。

“つどい”“挑み”“張り合い”“まじりあい”浮上したストリート&ダンディーな“感性”と“グルーヴ”の種が、もし60年代のロンドンやキングストン、70年代のニューヨークのバワリー界隈やサウスブロンクスのように未来の東京にも芽生えたらどんなに刺激的なことか。

冥土の土産を胸に隠居し、好好爺として傍観者になることも出来るが、熱き思い断ち難く、北斎の晩年の名“画狂老人卍” の魂に感染したごとく希代のプロデューサーでもある、いとうせいこうと密談を重ねイベントを立ち上げることになった。

題して“東京ニューソース”(TokyoNewSource)、どこまで回を重ねられるかわからない

が、新世代もソイソースの盟友たちもまじりあい、新たなソースが生まれることを夢想して、いとうせいこうと自らも挑み“見立て狂い”し、こころ恍惚になりしときは、“令和”の世代に未来をたくしたい。

◆ソースをジャムから/いとうせいこう

「我々はみなゴーゴリの『外套』から出てきた」というのはご存知ドストエフスキーの言葉だが、自分は『東京ソイソース』から出てきたという自覚がある。当時はまだまともにラップ歌詞もなかったのではないか。しかし私はバンドの合間のDJプレイの中で、たぶんやたらに客を煽ったはずだ。

 バンドの方にはじゃがたらやミュートビートがいて、つまりずっと仰ぎ見ていた人々だったから、自分は仲間に入れてもらえてうれしかったし、そこで新たに知りあった数奇者たちと様々なトライをすることともなった。

 今回、その『東京ソイソース』の親玉であるS-kenとついに二十一世紀版のニューイベントを始めるとは、あの頃の自分なら信じないだろう。何が何だか意味がわからないに違いない。

 だが私は、その過去の自分にこれだけは言っておかねばならない。

「フックアップされた人間は、また誰かをフックアップする義務がある。それは極上の楽しみでもあるだろう。だから海のものとも山のものともわからない若者に、君はいつか賭けることになる。これがその第一歩だ」と。

 まずは『ポエトリージャム』と銘打った。このポエトリーリーディングの宴には、まだまだS-kenも私も出る。そこから徐々にバトンは渡され、次は必ず君の時代になる。

◆過去にも未来にも繋がるような日本語の表現を試みたい
/町田康

新しいイベントにお招きいただき光栄に思います。

いま過去にも未来にも繋がるような日本語の表現を試みたい、といろいろ思案しているところです。

この“東京ニューソース”で未知の才能に接し、これまで聴いたことがないような音と言葉の交わりを耳にするのが楽しみでなりません。

◆ニューソースのレシピ / 小林 from SECRET COLORS

昭和の終焉、伝説の”東京ソイソース"が、平成をひと跨ぎ、新しい元号のもと"東京ニューソース”なる新しい試みに、このどこの馬の骨とも分からない我々を仲間に迎え入れてくれたこと、心より光栄に感じています。

フェイクと忖度にまみれた言葉が跋扈し、没落して行く極東の島国の首都、2019年東京。が、ここはストリートのリアルで。ニューソース作りは、世代もジャンルも超えた、ありったけのダイバーシティを大鍋にぶち込み、ぐつぐつ煮込んだ闇鍋から生まれると信じて。違和感は創造の萌芽。旨いかマズいかは、あなたの目と耳、そしてハートでご判断を。メインアクト目当ての方々も、この日ばかりはオープニングから来ないと後悔することになるぜ。